2.272020
【ブリリアントクラブ】『ファッションの力 ~ロイヤルファミリーに学ぶ~』講演会を実施しました
2020年2月22日に服飾史家の中野香織様を講師にお迎えして、ブリリアントクラブ講演会「ファッションの力 ~ロイヤルファミリーに学ぶ~」を実施いたしました。
ユニオンジャックをデザインした素敵なオーダーワンピースとメンズ仕立てのジャケットで颯爽と登場された中野様、今回の講演会のために120枚ものスライドをご用意くださいました!
スタートは今話題の(MeghanとBrexitをかけた)「MEGXIT」といわれるサセックス公ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱についてです。現在、イギリスで最もホットな話題となっている事例を取り上げ、よく知られている一連の騒動の流れと背景を解説しつつ、英王室=ロイヤルファミリーに対する世界の関心の高さを受講者に分かりやすくご説明くださいました。そして、この話題は後で触れる過去のロイヤルファミリーの面々についてのお話にも関連していました。
それから現在に至る歴代女王・王女のファッションについてのお話に移ります。純白のウェディングドレスが普及したきっかけを作ったのがビクトリア女王という話は有名ですが、英王室のウェディングドレスには英連邦の各国の花(イングランドのバラ、スコットランドのアザミ…)の刺繍を入れる伝統があり、それはキャサリン妃、メーガン妃にも受け継がれているそうです。
それぞれのドレスのデザイナーやトレンドなどを多くの画像で解説してくださり、特に女性にとっては興味深いお話が続きます。スライドで改めて故ダイアナ妃とキャサリン妃のウェデイングドレスを比較すると、8mのトレーンを持つダイアナ妃のゴージャスなドレスが当時のトレンドをよく表していたと思います。
続いて、テーマは男性のファッションに移ります。「メンズウェア宗主国」として確固たる地位を誇るイギリスですが、その起源は17世紀チャールズ2世の「衣服改革宣言」に遡ります。この宣言によって3ピースからなる現在のスーツのシステムが作られました。そして、その約200年後にはエドワード7世がディナージャケット(タキシード)を考案するなど、王自身のスタイルが、今日の礼装に脈々とつながっていることに驚きました。
時代は現代へ移り、「シンプソン事件」で知られるエドワード8世とウォリス=シンプソンとのロマンスや、チャールズ皇太子、エリザベス女王の夫君であるエディンバラ公フィリップ殿下をはじめとする20世紀以降の英王室メンバーを中心に、それぞれこだわりのスタイルや人間模様を語ってくださいました。
英王室の歴史を振り返りつつ解説していただき、「MEGXIT」は特別なことではなく、昔から存在した異端的な英王室メンバーが生み出す伝統と個性の繰り返しが人々を惹きつけ、ロイヤルファミリーの魅力になっていることがよく分かりました。
最後に、昨年の「即位礼正殿の儀」で来日された各国王族のフォーマルウェアをチェックするとともに、ブラックスーツに黒のネクタイをすると喪服になり、白いネクタイをすると婚礼用になるという日本のフォーマルウェアが本来の西洋の礼装のルールから見るとおかしなスタイルであるというご指摘で講演が終了しました。終了後の質疑応答では多くの方から質問が相次ぎ、皆様の関心の高さが窺えました。
講演会の内容を詳しく知りたい方は、ぜひ中野様の『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』をお読みください。