9.252013
実践ブラッシュアップ講座「テーブルマナー」を開講しました
9月22日京王プラザホテル(新宿)にて、実践ブラッシュアップ講座「テーブルマナー」講座を開講いたしました。この講座は、コースでランチを召し上がっていただきながらテーブルマナーを指導してもらえるという特に女性に人気の講座で、12名のお席は毎回告知してすぐに満席となっています。
講師は、長年ホテルオークラで皇室担当をされてきた元一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会(通称HRS)専務理事の鈴木章司先生です。宮中晩餐会や総理官邸、迎賓館などでのサービスを何度となく経験されているテーブルマナーの第一人者でいらっしゃいます。
鈴木先生は、お話し好きのとても気さくな方で、講座終了後も受講生の個別質問に喜んでお答えしてくださいます。ほとんど初対面の方同士がホテルでコース料理をいただくというのは、西洋料理に慣れている方でもかなり緊張しそうですが、鈴木先生のユーモアを交えたお話のおかげで、和やかなムードの中、皆さんお食事を楽しんでいらっしゃいました。
さて、講師、受講生の自己紹介に続き、テーブルマナーの歴史についてのお話から講義がスタートします。西洋料理におけるテーブルマナーは、フィレンツェのメディチ家からカトリーヌ妃がフランスのアンリ2世に嫁いだ際、粗野であったフランス宮廷の食事作法を上品なものに変えるべく、カトリーヌ妃と一緒にフィレンツェから来た料理長が50項目の食事作法を作ったことに始まったということはよく知られています。それから数百年の時を経た現代でも「ヌーベル・キュイジーヌ」の流れで料理に合わせて新しいカトラリーが作られるなど、テーブルマナーは時代とともに進化・変化を続けているといえます。
続いてのプロトコール的な観点からの席次についてのお話も興味深いものでした。各宮家で行われる(序列による席次がない)プライベートの食事会ではどのように席を決めているか、また外務省主催の食事会で紛争国の代表が同席する場合の対応など、こうした席を何度も経験されている先生ならではのお話に受講生の皆さんは熱心に耳を傾けていました。
食材やカトラリーの使い方、着席の仕方などの話が続き、後半は食事をいただきながらのお話となります。カトラリーの使い方では、先生から「用意されたカトラリーを何に使う?どれを使う?が分からない場合は知ったかぶりをせずにサービスする人に聞けばいいのです。それは全く恥ずかしいことではありません」というお言葉があり、会場に安心感が漂いました。
今回の受講者は、学校や企業で講師をしている方が多かったこともあり、鈴木先生から、テーブルマナーの大前提として「いただきます」「ごちそうさま」をしっかり言うように学生や子どもに伝えてほしい、というメッセージとともに、言葉の由来についても説明いただきました。
本日のメニューは、北海道の食材を中心にしたもので、サラダ、スープに続いてメインは「オーストラリア産牛フィレ肉の焙り燒き マデラ酒のソースに季節の野菜」、これにデザート、コーヒーという内容でした。受講生の皆さんがお帰りの際には「美味しかった」という言葉があちこちから聞かれました。
食事中も、食事の席でのマナーについて「Do’s and Don’ts (すべきこととすべきでないこと)」の説明が続きます。その数は計50項目以上になりました。すべき、すべきでない理由が明確でない場合、鈴木先生から毎回納得のいく説明がされるので、受講生の皆さんはお食事を召し上がりながら一生懸命メモをとっていらっしゃいました。こうした経験に基づいた知識をぜひ次世代に伝えていただきたいものです。
デザートの頃には、皆さんすっかり打ち解けた様子で様々な質問が出ていました。
眺めの素晴らしいホテル高層階で美味しい食事をいただきながら、テーブルマナーについてのしっかりした知識、スマートな食事の仕方を学ぶことのできるこの講座、数ある実践ブラッシュアップ講座の中でもトップを争う人気の秘密が分かった気がします。来年3月7日の「テーブルマナー講座」については、まだ数席ご用意できますので、ぜひご参加ください。
受講生の方から、今回のテーブルマナー講座で教えていただいた内容は書籍になっていませんか?とのご質問を受けましたので、鈴木先生も執筆に名を連ねていらっしゃる日本ホテル・レストランサービス技能協会「西洋料理の食卓作法」をご紹介いたします。
同シリーズで、「中国料理の食卓作法」もあります。(「日本料理」版もあるのですが新品は手に入らないようです)