4.92019
ブリリアントクラブ講演会「皇位継承の儀礼~大嘗祭とはなにか~」を開催しました
当協会理事・國學院大學神道文化学部教授の茂木貞純先生を講師にお招きして、ブリリアントクラブ講演会「皇位継承の儀礼~大嘗祭とはなにか~」を協会セミナールームにて3月10日に開催いたしました。
「大嘗祭」は新天皇が即位して初めて行われる「新嘗祭」のことであり、御一代に一度しか行われません。30年ぶりに行われる大嘗祭に対する関心は非常に高く、たくさんの会員の方からお申し込みをいただきましたので席を増設して対応いたしました。
茂木先生の講義は、国造りの神話に始まり、天照大神の孫である「天津彦彦火瓊瓊杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと) 」が地上に降りるという大きな転換点(天孫降臨)を経て、その曽孫である初代の神武天皇から脈々と受け継がれる皇室の歴史へと続きます。
一般に、神話(Story)と歴史(History)は別物と考えられていますが、「神話と歴史がゆるやかにつながっている国が日本なのです」という茂木先生のひと言に、日本という国の成り立ちに対して、改めて認識を深めました。
続いての「歴代天皇の宮中祭祀に対する御姿勢」という章では、歴代の天皇陛下が例外なく祀り(神事)を大切にしてこられた伝統について、第84代順徳天皇の「禁秘抄」をはじめとする様々な事例を挙げてご説明くださいました。現在でも天皇陛下ご自身が行われる宮中祭祀は数多くあり、その重責がこのたびのご譲位につながっているであろうことは、会場の皆様の誰もが感じられたと思います。
そして、いよいよ今回のテーマである皇位継承の儀礼についての解説です。皇位継承の儀礼は、大きく分けて剣璽等承継の儀を中心とした「践祚の式」、即位の御奉告とその後のお披露目である「即位礼」、そして数ある祭祀の中で最高の重儀である「大嘗祭」の3つから成るそうです。
これらの詳しい内容は、本講演会のテキストとして配布された神社本庁発行の「御代替り」に記されています。
最後に、夜に行われる「大嘗祭」という秘められた儀式の内容についてお話を伺いました。東日本を表す「悠紀殿(ゆきでん)」、西日本を表わす「主基殿(すきでん)」のそれぞれにご神饌を供え、天皇陛下も箸をとって召し上がる「供饌の儀」が行われることなど、非常に興味深いお話を伺いました。
さらに、平成の初めに行われた大嘗祭では、政教分離に反するという抗議のために全国で30以上の神社が焼き打ちにあったそうですが、この度の大嘗祭ではそうした騒ぎはなさそうです。それは平成の30年間にわたって今上天皇陛下が国民のために祈り続けられ、その大切さをお伝えくださったからに他ならないのでしょう。
茂木先生は、新天皇の即位=御代替りとは、原点を確認する儀式である、という言葉で講義を締めくくられました。まもなく行われる御代替りに向け、改めて神話の昔から日本の皇室の歴史を勉強してみようという思いを強くしました。