7.222020
実践ブラッシュアップ講座「テーブルマナー」を実施しました
本年度から会場を帝国ホテルのメインダイニング「レ セゾン」に移しての第1回「テーブルマナー」講座を7月12日に実施いたしました。
当初は、3月、6月に行う予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって7月に延期し、受講者数も10名に絞るなどの対策を講じてようやく開講することができました。「レ セゾン」の扉を開けると、ブリア=サヴァランの『美味礼讃』からの一節「新しい一皿の料理の発見は、人類の幸福にとって、一つの星の発見よりも、より有効なものである。」という言葉が迎えてくれます。
講師は、「レ セゾン」支配人で、迎賓館での接遇経験もお持ちの野尻誠様です。さらに、メインのお料理についてはヴォワザン シェフ、飲料については櫻木ソムリエが丁寧に解説してくださるなど、レストラン一体となっておもてなしをしてくださいました。
さて、講座は、まずテーブルマナーの歴史や食器、カトラリーについての解説からスタートしました。「テーブルマナーは不変の型があるものではなく、サヴァランが言ったように新しい料理、新しい食べ方の発見の繰り返しで進化してきました。だから周りの方に不快感さえ与えなければ自由に食べたらよいのです」という講師の言葉で、初めはちょっと緊張感のあった会場の雰囲気が和んできました。
食器やカトラリーのお話では、実際にホテルで使用しているプレートやナイフを見せていただきます。レ セゾンでは現在、主に「クリストフル」製のものを出していますが、以前は金型から作成した帝国ホテルオリジナルカトラリーを使用していたそうです。今も残っている貴重なものを実際に見せていただきましたが、銀メッキを何度も塗り直しているためにマークや製造年がだんだんと薄くなってしまっていますが、それがまた重厚な雰囲気を醸し出していました。
野尻講師は多くの海外からのお客様をサービスしてきただけでなく、欧米のレストランを利用されたご経験も豊富で、海外のお話も多く披露してくださいました。例えば、欧米の方は自分が食べたいものを食べる意識が強く、ほとんどがアラカルトで、コース料理をオーダーすることはないといったお話に、日本のスタンダードは欧米と違うのだという認識を新たにしました。
続いて、「レストランの使い方」というテーマで、帝国ホテルで「ドレスコード」を規定するようになった経緯など、具体的な例を挙げて説明してくださいます。会食の際、ホストがスマートに食事をリードする方法などのお話も大変勉強になりました。
1時間ほど解説を行ってから休憩に入り、テーブルセッティング後に食事がスタートします。受講者の皆様もマスクを外し、ノンアルコールのスパークリングワインの乾杯。実際にお料理をいただきながらの講座に移ります。
食事の流れに沿って、講師がスマートないただき方を説明していきます。「シャンパンやワインをもっと入れてほしいというお客様がたまにいらっしゃいますが、脚(ステム)の部分が華奢な高級グラスに飲み物を多く注ぐと、バランスが悪くなり脚が折れてしまうことがあるんです」といったお話はとてもユニークで、皆様、顔を見合わせていらっしゃいました。
アミューズブーシュ(アミューズブッシュ)に続いて、前菜はトマトを様々な調理法で仕上げた一皿が出されました。本日のメニューは、前菜に続き「ウドのカプチーノ仕立て」のスープ、メインは「仔子牛のフィナンシエールと一緒に 賀茂茄子とローズマリーの芳醇なジュレ」、デザートは「 ヘーゼルナッツのメレンゲ アーモンド香るレモンのソルベ」でした。
カトラリーの使い方についての受講者からの質問にも、「ナイフは先で切るのではなく、刃全体を使って長いストロークで切るとよいですよ」「フォークの使い方の基本は、”刺す””すくう””つぶす”なので、背にライスなどを載せるのはしない方がよいでしょう」「アメリカ人、イタリア人などフォークを右手で使う人も多いので、ナイフは右手、フォークは左手がテーブルマナーと固く考えなくても大丈夫です」などと丁寧に説明してくださいます。
お食事は進み、いよいよメイン「子牛のロティ」が運ばれてきます。
メインの料理については、ティエリー・ヴォワザン シェフが日本語で解説してくださいました。
肉の色がピンク色なのは、ミルクしか飲んでいない子牛の証拠で、成牛になると赤くなっていくのだそうです。
メインを食べ終えてデザートのセッティングをする間、最近、増えてきたチーズワゴンについてや食後酒の選び方について説明をしてくださいました。
最後はデザートの後に、お好みのコーヒーやパーブティーやプチフールをいただき、迎賓館でのサービスについてのお話などを伺って14:30頃に講座は終了。皆様、有意義な講義と美味しいお食事の両方に大変満足して、お帰りになりました。
次回7月18日のテーブルマナー講座は満席になりました。ぜひ、9月13日19日、11月21日の講座を受講なさってください。きっとご満足されると思います。