10.22017
実践ブラッシュアップ講座「和の作法 上級」を開講しました
5月に開講された「和の作法 基礎」に引き続き「和の作法 上級」が、9月16日・17日に増上寺会館 桂の間にて開講されました。講師は当協会理事で、小笠原琉礼法宗家本部常任理事総師範の鈴木万亀子先生です。
今日は上級講座ということで、まず小笠原礼法に伝わる様々なお話を紹介していただきました。
水は方円の器に随う心なり
“水を入れる器は形が丸かったり、四角であったりする。しかし水は、常に自然に器の形で存在する。このように人もまた、融通性を持って自然な振る舞いを心掛けなければならない”という意味です。まさに礼法の真髄を表した一言で、参加者の皆さまも姿勢を正して聞いていらっしゃいました。
陰陽道
「上座」「下座」のお話から「陰陽道」の説明へと続きます。和室においては床の間を基準として入り口側が下座であり、上座と下座では相手に与える印象が異なるそうです。実際に参加者の方に上座側、下座側に立っていただき、印象の違いを実感していただきました。
この世のものには全て「陰と陽」があり、地、月、裏、偶数、女性、角、等は「陰」。天、太陽、表、奇数、男性、丸、等は「陽」となることを教えていただきました。偶数がなぜ「陰」となるかは、偶数は「止め」の数となり、動きが無く、奇数は動きがあるので「陽」となる、と説明していただきました。
座礼の実践演習
続いて、和室の心得として、姿勢、座礼、膝行膝退、男廻り、女廻り、歩き方について実践を含め教えていただきました。座礼にも「九品礼」といってお辞儀の深さにより九種類の礼があり、そのうち指建礼、折手礼、双手礼を実際に教えていただきました。
その後、扇子の種類と扱いについてのお話で、扇子は心を見せるものであること、危険とされている要(かなめ)を相手に向けてはならないことなどを教えていただきました。初日の最後には物の受け渡し方についてのお話で、相手の尊さにより渡すものの持ち手が何段階も違うということを教えていただきました。
二日目
二日目は、まず訪問の所作を実践しました。日頃意識せずに開閉している襖や障子について、正しい所作を教えていただきました。また座布団の扱いや茶菓のいただき方についてもご紹介いただきました。
さらに祝儀・不祝儀の場面での所作について、挨拶の口上、袱紗(ふくさ)の扱い方などをご説明いただきました。玉串奉奠のやり方については、実際に玉串を用いて教えていただきました。
二日目の最後に、「時期は過ぎてしまいましたが季節なので…」と重陽の節供のしつらえを紹介していただきました。(菊三色、折形、柿、栗、長熨斗が添えられています)
昨今ではなかなか学ぶ機会のない「和の作法」について、慣れぬ正座に苦労しながらも、礼法の様々な心得と教えを学ぶことで、また一つ新たな教養・技能を身につけられた気がしました。次回「和の作法 基礎」は、12月2日(土)に開講いたします。礼法にご興味のある方は、ぜひご参加ください。