7.152017
実践ブラッシュアップ講座「冠婚葬祭のしきたり」を開講しました
7月8日(土)当協会セミナールームにて、明石伸子理事長による実践ブラッシュアップ講座「冠婚葬祭のしきたり」を開講いたしました。
日々の生活の中で、様々な機会に必要となるものとして「冠婚葬祭」の知識があります。「冠婚葬祭」という言葉はよく耳にしますが、具体的に何をさしているかを知っている方は案外少ないのではないでしょうか?
冠婚葬祭の「冠」とは、もともと元服の時に冠をかぶる「加冠の儀」を意味していましたが、今では誕生から長寿の祝いなども含めて通過儀礼一般をさします。また、「婚」は結婚、「葬」は葬儀を、「祭」は年中行事を表しています。「冠婚葬祭」とは、人生や生活の節目の重要な行事の総称なのです。そのような知識を確認するために、今回も熊本県、静岡県、宮城県など全国各地から多くの皆様がご参加くださいました。
講座は、“冠婚葬祭とは何か”、また、“しきたりとは何か”という基本についての解説から始まり、“日本のしきたりの成り立ち”については年表をもとにその変遷や流れについて学びました。「納采の儀」や、「上巳」、「暦、陰陽思想」など、かつて日本史でならったものの、詳しくは知らなかった事柄が次々と紹介され、受講者の皆さまは熱心ににメモを取られていました。
子供の通過儀礼である「七五三」では、悠仁親王が行った“深曾木の儀”という「碁盤から飛び降りる」珍しい儀式なども紹介されました。
日本のしきたりのルーツを辿ると、中国より伝わった「陰陽五行思想」が日本の暦やしきたりに大きな影響を及ぼしていることがわかります。結婚の祝儀は奇数の金額で包んだり、主な節供の日が奇数だったり、子供の成長を祝う年が七五三だったりするのは、陽の数である奇数を尊ぶ現れです。
また、この世はすべて「陰」と「陽」が補完しあいながら、バランスを取っていると考え、万物や自然を「陰陽」に定めているのがこの思想の特徴です。鏡餅が丸餅に対して、四方紅という四角の台紙に載せて飾るのも、「陽」の「丸」に対して「陰」の「角」でバランスが取られている一例です。
「婚」のしきたりでは、「結納品」の一つである「長熨斗(ながのし)」について、「熨斗」は本来、海産物のあわびを叩いて長く伸ばしたものであることを説明し、実際にあわびの熨斗がついた祝儀袋、「伊勢熨斗」の実物が講義で紹介されました。参加された方は初めて見る実物に驚きを隠せない様子でした。
また「葬」のしきたりでは、祝儀袋、不祝儀袋での袱紗(ふくさ)の包み方の違いについて紹介され、更に、神式の葬儀の際の玉串奉奠(たまぐしほうてん)や、キリスト教の献花の仕方について実習しました。
「冠婚葬祭のしきたり」という広範囲かつボリュームの多いのテーマについて3時間という限られた時間で学ぶのはかなり難しいことですが、明石理事長の明快な講義によって、皆さん「目から鱗」の新知識を存分に習得されたようでした。 まだ実践ブラッシュアップ講座で未参加の講座がある方はこちらをぜひご確認ください。今後の講座スケジュールをご紹介しております。