8.132014
ブリリアントクラブイベント「教育再生への取り組み~学びから人づくりを!」を実施しました
2014年8月2日 当協会理事・明治学院大学法学部教授川上和久先生を講師にお迎えし、ブリリアントクラブイベント「教育再生への取り組み~学びから人づくりを!」を実施いたしました。川上先生のご専門は政治心理学で、テレビのコメンテーターとしてもお馴染みですが、日本教育再生機構副理事長も努めていらっしゃり、教育再生・教科書問題などにも高いご関心と深いご見識をお持ちです。
中等教育への関心は、ご自身が通学していた麻布中学校で学園紛争によるロックアウトがあり、2ヶ月間授業が行われなかった経験、その麻布中学校の創立者である江原素六の教育理念等の影響から芽生えたそうです。以下、当日の川上先生のお話を要約してお伝えいたします。
◆教科書の歴史
教科書の起源は平安時代に遡り、貴族子弟の学習用に編まれた往復書簡を模範文として見ることで文章表現の勉強をしていたため、当時の教科書は「往来物」と呼ばれました。
明治維新を経て、明治14年に現在の教科書の基礎ができあがります。小学校の教科書は、当初各府県が文部省に届出する開申制度から、教科書検定制度へと変更されましたが、明治35年の教科書疑獄事件で役人への贈賄が発覚し、その影響で大部分の小学校教科書が法令上使用不能となりました。そのため、明治37年からは、全国同一の国定教科書が採用され昭和20年代まで続きました。
敗戦後、GHQの意向で検定制度が復活し、教育委員会が公立学校の教科書採択を行うこととなりました。そして、昭和38年からは、憲法が保障する「教育を受ける権利」を具現化し、小中学校は教科書が無償となりました。
◆教科書問題の本質とは
教科書の歴史からいわゆる「教科書問題」についてのお話に移ります。戦後、GHQは、日本を①軍事力を持たせない②民主主義国家とする③国家主義の否定 という3つの柱を打ち出しました。
この後は、歴史教科書の検定を巡る問題について詳細にご説明くださいました。内容については割愛いたしますが、その本質とは、日本の一部メディアが先導役となって太平洋戦争に関する一部の記述について意図的に削除されたと報じたことを契機として、中韓両国による教科書検定に対する非難キャンペーンが起こり、さらに政府が外圧に負け、事実を事実として主張することをせず、教育に関わる大事な歴史認識問題を政治判断で妥協させようとしたことにあると言ってよいでしょう。
◆教育再生への取り組み
戦後の断裂の中で、日本が本来持っていた良さが根こそぎ否定され、日本的なものが総じて「右翼」と言われる今の風潮に疑問を持つ方は多いかと思います。さらに、1990年代以降自虐的な歴史観を反映した教科書による教育を受けてきた子どもが多数いるのが今の日本の現実です。
ご承知のように江戸は、人口だけでなく識字率の高さなど教育水準や公衆衛生でも世界最高レベルで、当時の江戸を訪れた欧米人の記録でも「庶民でも筆と硯を持って書き留める」と記録されています。教育を受け高い教養を身につけていたのが貴族階級だけであった欧米と異なり、日本は世界に例がないくらい庶民の教養レベルが高い国でした。こうした素晴らしい歴史を持つ国にも関わらず、今の日本の学生は自国に誇りを持つことができないのが現状です。
愛国心を持つことはグローバルスタンダードな精神であり、日本が世界の中で果たしてきた役割をしっかり語れる人材を育成することが我々大人に求められているのではないでしょうか。
この後は、参加者との質疑応答が行われ、様々な質問が寄せられました。
川上先生が監修に携わっていらっしゃる公民の教科書をご紹介します。ご興味のある方はご覧ください。