実践ブラッシュアップ講座「和の作法上級」を開講しました

2014年4月19・20日の2日間にわたり、増上寺会館の和室で実践ブラッシュアップ講座「和の作法上級」を実施いたしました。講師は小笠原流礼法総師範の鈴木万亀子先生です。和服で凛とした先生のたたずまいに、初めは受講生の方々の緊張感が伝わってきました。しかし、先生のお話が始まると、皆さま熱心に聞き入られていました。

まずは、「礼法とは」というお話から始まり「不躾は目に立たぬかは躾とて目に立つならばされも不躾」という言葉の意味を大変わかりやすく説明してくださいました。これは、躾ができてないのは見苦しいことだが、しつけられているからといって、いかにも礼法を身に付けていると振る舞うのは、礼法を身に付けていないのと同じである、という意味です。つまり、自分が礼法を学び正しい振る舞いができたとしても、それを知らない人に対して上から目線で見るようなことはしてはいけないという諫めで、これから礼法を学ぶ受講生が先ず知っておくべきことといえます。

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続いて「陰陽道」について、この世のものにはすべて「陰と陽」があることのお話がありました。先生が挙げられた例では、上座と下座では、威圧感など相手に与える印象が違うということです。受講者同士が実際に立ち位置を変えて実践しました。このあたりで、足がしびれている方が見受けられましたので、先生より跪坐(きざ)についてご説明があり、皆さま試されていました。

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和室の心得と基本動作、扇子の種類と扱いでは、先生のお手本をもとに、座礼、膝行膝退、男廻り、女廻りの実習を行い、扇子を使った挨拶の仕方を学びました。受講生から、先生のお手本を再度見たいというリクエストに応えて、先生が一連の挨拶の流れを再度してくださいましたが、その所作がとても美しく、みなさん魅入られていました。

以上で1日目は終了です。大きな動きがあるわけではないのですが、美しい姿勢で正座したり、立ったり座ったりするのは、思いのほか力がいるものだと実感しました。

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2日目は、前日の復習をしっかり行った後、訪問する場合、訪問を受ける場合の一連の所作を学びます。座布団や茶碗、茶托などの道具についても、その成り立ちから教えていただきました。決まった作法の裏には、なぜそういう動きをすべきなのかという理由があり、それを分かった上で振る舞うのと、ただ「そうしなさい」と言われたからするのでは、大きな違いがあります。受講者の中には、講師としてご自身も学校などで教える立場の方もいらっしゃり、所作の稽古だけでなく、歴史や背景についての知識を得られることも本講座の大きなメリットのようです。

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さらに、祝儀、不祝儀における所作を学びました。特に仏式・神式の葬儀では、和の作法が必要となることが多く、皆さま熱心に先生のお話に耳を傾けていらっしゃいました。葬儀の受付で香典をいただいた際は、「おそれいります」と言うべきですが、つい「ありがとうございます」と言ってしまう方もいらっしゃると思います。こうしたことも一度学んでおくと間違えがなくなるでしょう。

続いて、和食の作法について、改めて箸使いを確認します。多くの日本人は、西洋料理のテーブルマナーを学ぶ機会はあっても、和食のいただき方は家庭任せになっています。箸は短く持ったほうが力が入り、女性は腋が開かないので、正式な席では意識して短めに持つほうがよいなど、美しいいただき方を先生に具体的に教えていただきました。

美しく食事ができるようになるために先生がお勧めされていたのは”鏡の前で食事をしてみること”です。お見合いの席で食事をするのも、いただき方でその人の品格をはかる目的があるのだそうです。美しい食事ができているか、ぜひ鏡を自分でチェックなさってください。

最後に、節供のしつらえについてお話いただきました。今回は端午の節供が近かったので、それを例にご説明いただきました。菖蒲の花の飾り方など、初めて伺うお話も多く、大変勉強になりました。

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2日間にわたる稽古中心の講座で、イスの生活に慣れた現代人にはハードですが、その分学びも大変多く、繰り返し受講される方がいらっしゃるのも頷けました。日本人として一度は学んでおきたい講座です。

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